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相馬康弘氏<おおいた起業家事情>
2020.09.18
最終更新日:2023.09.05
平成27年に設置された「おおいたスタートアップセンター」
多くの方が、創業や新事業に取り組んでいます。
このコーナーは、おおいたスタートアップセンターが注目する起業家や、話題に迫ります。(『創造おおいた』2020年9月号掲載)
今月の注目起業家は・・・竹田市で飲食店『和創作 えん』を営む相馬康弘さんです!
料理の道を目指すと決めた中学生時代
城下町の街並みが特徴的な竹田市の中心街。この2020年2月に『和創作 えん』がオープンしました。今回紹介する相馬康弘さんは竹田市生まれ竹田市育ちの現在40歳。「40歳までに独立して地元に自分の店を持つ」という夢を実現した起業家です。
料理の世界にあこがれを持ったのは中学生のころ。当時放送されていたテレビ番組『料理の鉄人』を観たことがきっかけでした。その後も料理の世界への想いを抱き続けて高校卒業後、大阪にある料理学校へと進みます。
大阪での挫折、そして人生のターニングポイント
料理の世界に足を踏み入れたのですが、待っていたのはあこがれだけでは生きていけない現実でした。下働きばかりが続き、料理をしたいのに食品に触れることができないそんな日々でした。結果、料理の世界から離れてしまうことになります。それから大阪での2年間は料理以外の仕事で過ごしたのでした。22歳の時に大分に帰ってからは料理の世界に戻ってきますが、自分の店を持つという夢にはほど遠い状況でした。
転機が訪れたのは29歳の時。母親を交通事故で亡くすという不幸に見舞われます。このとき相馬さんは気づきます。「シェフになって竹田で一旗揚げる」と母親には言っていたのに自分は挫折した姿しか見せることができていなかったのです。「今まで何をやっていたのだろうか」という思いが、「40歳までに独立して地元に自分の店を持つ」という目標に再び向かうきっかけになりました。
板前修業と人との出会い、創業準備
34歳の時に今までの仕事を退職。竹田の中心街にある飲食店『魚町友修』で5年間という期限を区切っての板前修業を開始します。板前修業中は、料理はもちろん接客技術を磨いたほか、少ない休日を利用して荻(山口県)、江津(島根県)、宮古(岩手県)、京都(京都府)、日向(宮崎県)などを訪問します。そこで出会った人と人、人と街は現在でもつながっています。また、竹田商工会議所の経営指導員、堀 修司さんとも出会い創業に向けての準備を進めはじめました。
魚町友修での板前修業は予定より早く4年4か月で大将のお墨付きをもらい終了しました。ここから本格的に創業準備に動きます。堀さんに伴走支援を受けながら事業計画を練る中、かつて竹田市中心部の回遊拠点だった場所を店舗として借りることができました。また大分県地域課題解決型起業支援事業費補助金にも応募し採択。補助金は店舗の設備費に充てました。
『和創作 えん』オープン。現実と向き合う日々
『和創作 えん』は2020年2月にオープンしました。オープン2日目に起こったことを相馬さんは話してくれました「お客さんの前で号泣したんです」。お店は満席、オーダーはどんどん入ってきます。50種類のメニューを準備したのですが、1人では何から手を付けてよいのかわからくなってしまったのです。相馬さんは「自分が情けなくて」号泣の理由をそうふりかえります。
その日の閉店後、思い切ってお店のメニューをすべて取り払い、相馬さんが自信をもって確実に出せるメニューに限定して『本日の一品』としてメニューに変え3日目からの営業を行いました。結果は大成功。お客さんの満足度がアップしました。
事業を始めるときに大きな計画を立ててしまい、自分を見失ってしまったことに気づいたのでした。
新型コロナウイルス感染症の影響
オープン後間もなくして新型コロナウイルス感染症の影響が竹田市にも現れます。このため4月8日から休業すること判断します。休業中何かできないかを考えた末、にぎり寿司のみ4種類をテイクアウトとして提供することにしました。この取り組みはは大分合同新聞に掲載されたことで掲載当日から大きな反響をよびました。竹田市から離れた大分市や由布市からも問い合わせが入るようになりました。朝から夜まで休憩もなしに寿司を握っていました。お店でお客様に料理を提供できない状況でしたが、結果としてにぎり寿司もおいしいお店として知ってもらえることになりました。
にぎり寿司のテイクアウトの評判が大変よかったのですが、周りのお店が営業再開をする中、『和創作 えん』の営業再開のタイミングに苦慮しました。お店は一人で営業しているため店舗にお客様を入れての営業とテイクアウトの両方をおこなうことはできません。材料を置くスペースや仕込みの段取りを考えると満足のいく料理を提供できないのです。お店を再開してほしいという要望も増えてくる中、6月30日まではテイクアウトのみ提供し、7月2日から店舗営業を再開しました。
創業準備はタッグを組んで
お店のオープンするまで、そしてオープンしてからをふりかえると、一人では限界があったと相馬さんは言います。店を持つ想いはあったけれど、経営や資金繰りについての知識が乏しかったのです。この苦手分野を経営指導員の堀さんに支えてもらいました。
また事業を計画していた時とお店をオープンしてからは違いがあるそうです。メニューを大幅に絞ったこと以外にも変わったこと、それは毎日4時半に起きて市場に行き、魚を仕入れるようになったことです。自分の目で魚を選び提供するとお客様が格段に喜んでくれます。これが『和創作 えん』の売りになっています。
堀さんは伴走支援を通じて、自分で動いていく相馬さんの想いを形にする後押しをしたといいます。相馬さんは柱がしっかりしているから強いと感じたそうです。
創業には想いが必要なことはもちろんのこと、それだけではなく数字の部分の構築も必要です。創業者と商工会議所の経営指導員、タッグを組むことの重要性が見えました。
「縁が円となり、宴と成す」相馬さんはこの言葉を大事にしています。店を訪れるお客様、板前修業中に出会った人々、そして竹田で同じく頑張っている若手経営者。『和創作 えん』は多くの人と縁を繋ぐお店となっていくことでしょう。
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