BLOGブログ

【おおいた起業家事情】大分の麦文化を後世、そして世界へ ~県内唯一の精麦工場が挑む、「ALL大分」焼酎へのラストワンマイル~

2026.02.06

合資会社藤澤精麦工場 専務 藤澤隆典 氏

■「食」の現場から家業へ
臼杵市で大正元年(1912年)に創業した藤澤精麦工場。100年以上の歴史を持つ老舗ですが、かつて県内に多数あった精麦業者は時代の変化とともに減少し、現在では同社が大分県内で唯一の存在です。藤澤さんは地元の臼杵高校を卒業後、県外の大学を経て、大分県内の食品メーカーに10年間勤務。営業と製造の両方を経験し、工場の設計や商品が消費者に届くまでの流れを肌で学んだ後、3年前に家業に戻られました。幼少期から「お前が跡取りだ」と言われて育ち、いつかは家業を継ぐことを意識していたといいます。

■麦焼酎王国・大分への恩返し
同社の主力事業は、県内大手メーカー向けの味噌用大麦の精麦です。味噌用の需要に支えられ、堅実な経営を続けてきましたが、藤澤さんは家業に戻ってから、ある「大きな可能性」に気づきました。それが「焼酎用大麦」の精麦です。大分県は本格麦焼酎の生産量日本一を誇る「麦焼酎の王国」です(国税庁「酒類製造業及び酒類卸売業の概況 令和6年アンケート」)。1970年代以降、大分麦焼酎が全国的なブームとなり需要が急拡大した際、県内の精麦能力だけではその旺盛な需要に応えきれず、近隣県などの協力工場に精麦工程を委託する体制が築かれました。おかげで大分麦焼酎は全国へと羽ばたき、その隆盛は麦の需要を支え、精麦業界全体を救ってくれたと藤澤さんは語ります。「業界を支えてくれた焼酎メーカーさんに感謝しています。だからこそ今、大分県産の麦を、大分県の水と空気の中で精麦し、地元の蔵元で醸す『ALL大分』の焼酎造りに貢献したいと思ったのです」。長年の分業体制により、社内には焼酎用精麦の設備もノウハウもありませんでしたが、藤澤さんは自ら大手焼酎メーカーにアプローチを開始。その熱意が通じ、新たなパートナーシップによる挑戦が始まりました。

■アトツギ支援プログラム「GUSH!」での挑戦
この新規事業を加速させるため、藤澤さんは大分県のアトツギ伴走支援プログラム「GUSH!」に参加しました。焼酎メーカーが求める高品質な基準を満たすため、数千万円規模の設備投資(アルファ化設備等)を決断。GUSHのメンター(伴走支援者)と議論を重ねて事業計画を磨き上げ、資金調達の道筋をつけると同時に、「テロワール(土地の個性)」を活かしたブランディングについてもメンターと議論を進めてきました。「栽培・精麦・製造」の全工程が県内で完結することで、大分麦焼酎のストーリーはより強固なものになります。これは、海外市場への展開を見据える焼酎メーカーにとっても大きな価値となります。

■継続は力なり、そして次代へ
2026年1月13日には、福岡で開催される「アトツギ甲子園」九州・沖縄ブロック大会に出場されました。全国から多数の応募がある中、九州・沖縄エリアの代表としてわずか12社が選抜された狭き門。大分県からは3社のみの選出です。佐藤樹一郎知事への表敬訪問でも、「若い人たちの思いをしっかり表現したい」と意気込みを語られました。「小さな会社でも、長く継続してきたからこそ、大手メーカーさんの力になれるチャンスが巡ってきました。継続は力なり、を体現したいですね」と藤澤さん。5年後、10年後を見据え、大分の麦畑が黄金色に輝く風景を守り、その豊かさを世界へ届けるために。藤澤さんの挑戦はまだ始まったばかりです。

※本記事は『創造おおいた 2026年2月号』「おおいた起業家事情」に掲載されています。

(取材・執筆:中本毅)

→ 一覧に戻る

まずは利用者登録を!

イノベーションが生まれる場で、皆さんの創業を実現させませんか?
利用者登録をすると、限定のセミナーや施策情報をいち早くメールでお届けします。
交流スペースの利用が可能になり、オフィス感覚で利用できます。
創業の第一歩は、利用者登録から。
  • スタートアップセンター交流スペースの利用が
    可能になります!
  • センター利用中、
    スタッフに気軽に相談できます!(無料)
  • 限定セミナーを開催するほか、
    イベント情報を優先的にお届けします。
  • メールマガジンで、
    施策情報をタイムリーにお届けします。

※(平日9:00〜17:00。wi-fi完備。負担金日額300円)

利用者登録はこちら
おおいたスタートアップセンターロゴ
〒870-0037
大分市東春日町17番20号
大分第2ソフィアプラザビル5階
TEL 097-534-2755
開所時間:平日9時〜17時
※土日祝日及び12/28〜1/3は閉所