【スタートアップ界の動向にも注目】別府湾会議2025「AI未来会議」

こんにちは、おおいたスタートアップセンターです。

2025年12月11日・12日の2日間、ホテル日航大分オアシスタワーにて開催された「別府湾会議2025　AI未来会議」にセンターのメンバーが参加してまいりました。今回は、特に2日目に行われたパネルディスカッション「スタートアップ企業から学ぶ」の内容を中心に、これからのAIビジネスやスタートアップ界の最新動向についてご報告します。

■セッション概要 「スタートアップ企業から学ぶ」

登壇者：

・土岐 泰之 氏（ユニファ株式会社 代表取締役CEO）

・森山 健 氏（株式会社Godot 代表取締役CEO）

・玉木 穣太 氏（curioph株式会社 代表取締役）

・園田 雅敏 氏（Eletus株式会社 CEO）

コーディネーター： 田上 英昭 氏（エヌビディア合同会社 部長）

このセッションでは、保育、行動科学、定性調査、教育といった異なる分野でAIを活用する4名の起業家が登壇し、熱い議論が交わされました。そこで見えてきた、スタートアップ界の重要な「3つの動向」をご紹介します。

①「効率化」から「人間の幸福・成長支援」へ

AIの活用というと「業務効率化」や「自動化」が注目されがちですが、今回の登壇企業に共通していたのは、AIを「人間がより人間らしくあるためのパートナー」として位置づけている点です。 例えば、ユニファ株式会社の土岐氏は、保育現場の業務負担を減らすだけでなく、AIで子供の成長記録（ライフログ）を可視化し、将来の「自分探し」や自己肯定感の向上につなげるという長期的なビジョンを語られました。また、株式会社Godotの森山氏は、シミュレーション技術を用いて人間の意思決定を拡張し、行動変容を促すアプローチを紹介されました。 単なるタスクの代替ではなく、人間の「幸せ」や「成長」にどう寄与するかという視点が、これからのサービス開発の鍵となりそうです。

②日本独自の強み：「安心・安全」と「課題先進国」としての実験場

世界的なAI開発競争の中で、日本のスタートアップはどう戦うべきかという議論も白熱しました。登壇者からは、計算能力やデータ量で海外の大資本と勝負するのではなく、「安全性」や「説明可能性」、そして日本ブランドが持つ「安心・安全」といった精神性を強みにすべきだという意見が出されました。また、少子高齢化などの社会課題が深刻化している日本こそが、世界に先駆けてAIの社会実装を行う「実験場」になり得るという前向きな視点も共有されました。日本の課題解決モデルが、将来的にグローバル市場での強みになる可能性を感じさせられました。

③地方から世界へ：最初からグローバルを見据える

園田氏は高校まで大分市で過ごされました。高校時代には、ラグビーW杯日本大会を盛り上げるため、ラグビーワールドカップ日本事務局と大分県庁協賛のイベントを主催。その後、福岡を拠点にEletus株式会社を学生起業されました（2023年5月）。ドキュメントから学習教材を生成するサービスを展開し、すでにアジアや米国など海外展開を進めています。「地方発でも世界で使われるソフトウェアを作る」という高い視座と行動力は、会場に大きな刺激を与えました。大分や九州という場所に限定せず、最初からグローバル市場を視野に入れたプロダクト開発が進んでいることも、近年の大きな潮流と言えるでしょう。

■まとめ

今回の会議全体を通して、「WEターン（私たち主語への転換）」というキーワードが提示されました。AIを恐れるのではなく、AIと共にどのような未来を作りたいか、私たち自身が主体的に考え、行動することの重要性を再確認する機会となりました。来年1月には「おおいたAIチャレンジ2026」のビジネスコンテスト本選も控えています。大分から生まれる新たなイノベーションに、ぜひご期待ください。

おおいたスタートアップセンターも、こうした先端技術を活用し、社会課題の解決に挑む起業家の皆様を引き続きサポートしてまいります。

主催・関連リンク：

別府湾会議2025「AI未来会議」 https://www.hyper.or.jp/activity/bbc/bbc19th/

公益財団法人ハイパーネットワーク社会研究所 https://www.hyper.or.jp/

おおいたAIテクノロジーセンター https://aitec.oita.jp/