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リヴィア清水夏子氏<おおいた起業家事情>

2023.09.04

最終更新日:2024.07.01

今回ご紹介する起業家は、着物や帯を預かり、虫干しなどの定期メンテナンスをしながら保管。預かっているアイテムはシェアリング用として活用することもできるサービスを展開している『(株)クラフトマンシップ』のリヴィア清水夏子さんです。(『創造おおいた』2023年5月号掲載)

起業の動機

リヴィア清水さんは大分市出身、京都の大学を卒業後、東京で就職。メーカー勤務を経て、着付け師として活動する中で、「箪笥にしまったままの母や祖母からの着物を捨てることができず処分に困っている」という声を聞き、何か活用する方法はないかと模索していました。一方で、着物職人の後継者不足により今後数年で高度な技術を身につけた職人がいなくなると聞きました。素晴らしい技術が施された着物や帯を箪笥の中にそのままにしておくのではなく、市場に引っ張り出すことで着物の価値を多くの人に知ってもらいたい。そして、着物を気軽に長く楽しめるようなサポートをしたいという思いから、同じく大分県出身の夫と共に、大分にUターンした2021年、(株)クラフトマンシップを起業しました。コロナ禍でオンライン会議が普及し始め、東京にいなくても同じサービスが提供できると判断したからでした。

「KIMONO CLOSET」の現状と課題

(株)クラフトマンシップが展開する事業「KIMONO CLOSET」には、(1)着物や帯を預かり、虫干しなど定期的なメンテナンスをしながら保管するサービスと(2)保管した着物をシェアリングし、得た利益の一部を保管している人に還元するサービスがあります。(1)の着物の保管サービスに関しては、「第6回 Oita Startup Woman Award」(以下、OSWA)(主催:大分県・おおいたスタートアップセンター)のファイナリストに選出され、テレビ局にも取り上げられたことで認知度が上がり、順調に取引数を伸ばしています。

課題となっているのは、(2)の預けた着物をシェアリングするサービスです。入学式や冠婚葬祭など着物を着るシーンが地方では限られるため、保管を依頼し、自身の着物をシェアしてもよいという人は増えているものの、利用者数が伸び悩んでいるのが現状です。ちょっとした食事会、コンサート、街歩きなど、気軽に着物を着てもらうには、着物を着るシーンを増やしていくことが必要です。また、美容室やホテルなどで、豊富な在庫から質の良い着物をコーディネートしてもらい、着付けと着物レンタルがセットで提供することができるようになればと現在、提携先などを開拓中です。

これからについて

現在国内には、約8億点の着物が遊休資産として眠っていると言われているそうです。リヴィア清水さんは、これらの遊休資産を市場に引き出し、活用することで、着物に携わる職人が永続的にその仕事を続けられる社会になってほしいと願っています。社名の「クラフトマンシップ」は「匠の技」という意味です。日本人の母とアメリカ人の父を持ち、日本の文化を内側と外側から捉え、その文化の結晶である着物に係る「匠の技」を守るため、着物をもっと利用してほしいと尽力するリヴィア清水さんの事業に今後も注目です。

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